休前日の午後のカフェ。どこからか溢れるように、可愛らしい声が漏れ聞こえた。
「ねぇママ、けっこんってなぁに?」
ひしめく話し声が薄い膜のように、あちこちにかかる中、不意にはっきりと聞こえた問い。しばし答えらしき声のないまま、はたまた周りの音に飲まれたか、とカップの中のコーヒーを見つめて思案する。
「……なんだろうねぇ?」
「ママもわかんない?」
「うん、わかんない」
子供の問いかけは時々ものすごく難しい。親は大変なんだろうなぁ、なんて他人事。当たり前という言葉で眩んだ物事の本質に、純粋な疑問をぶつけられると、くたびれた大人は戸惑ってしまう。案外賢いのは子供の方かもしれない。
〉夫婦
11/22/2022, 10:40:37 AM