わをん

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『春爛漫』

昨日まで何もなかった砂利道に草の芽がぽつぽつと現れた。双葉は背を伸ばし本葉を増やし、灰色の道は緑色をまぶされていく。茶色い木の芽も次第に膨らみ緑色を帯びて、今か今かと咲く瞬間を待っている。
細くあたたかに降る養花雨は小さな緑の勢いを後押しする。青い小花、小さな豆の小さなピンクの花、黄色い菜の花、三つ葉や四葉の白い花。雨は名前の通りに緑を育み、丁寧に折りたたまれた花の蕾は雨上がりの陽の光を浴びてついにこの世に現れる。
夥しく咲いた花たちはその身を誇り、その身をもって春を春たらしめていく。

4/11/2024, 3:27:46 AM