嗚呼、僕はこの人を愛してるんだな。
彼女と皿洗いを一緒にして、洗濯物を一緒に干して、掃除を一緒にして、
ふと、そう思った。
彼女とは、見合い婚。
見合いの席、初対面で婚約。
彼女が大学卒業後、結婚。
互いに仕事が忙しくて、年に数回しか逢わない。
妻とは、一緒に住んだことが無い。
俗に言う、別居婚。
平安時代中期まで結婚しても一緒に住まない事があたり前だったから、
僕的に目新しいとは思わない。
3人の子どもたちは、私の実家でいとこたちと暮らしている。
かわいそうと思うかもしれないが、僕の家ではあたり前だ。
僕自身、いとこたちと一緒に育った。
妻の話に戻ろう。
当たり前ことをしても、彼女は『ありがとう』、と言ってくれる。
だから、僕も、いつも『ありがとう』を言うようにしている。
彼女には、本当に多くのものを与えて貰った。
例えば、『ありがとう』という言葉が大好きになった。
ありがとう、たった一言。
この一言で、暖かい気持ちになる。
彼女と一緒に決めた、ふたつの約束。
ひとつ、当たり前のことでも、『ありがとう』を互いに言う。
ふたつ、別れ際は必ず抱きしめて、『愛してる』を互いに言う。
だから、僕は今日も 心からの『ありがとう』と『愛してる』を
貴女に贈る。
そして、今日、初めて新しい言葉を付け加える。
「生きていてくれて、ありがとう。愛してる。」
貴女は、少し驚きながらも微笑み、こう言った。
「こちらこそ、生きていてくれて、ありがとう。愛してるわ。」
2/23/2024, 4:06:18 PM