上手くいかなくたっていい
「上手くいかなくたっていい」はおばあちゃんの口癖。おばあちゃんは私が失敗した時、落ち込んた時、上手くいかなかった時に必ずこの言葉で励ましてくれる。
この言葉を聞けばおばあちゃんの優しさに包まれ、何となく元気がでて、たいがいのことはどうでもよくなるから不思議だ。
おばあちゃんは80年近く人間界に住んでいる魔法使いだ。長く人間界に住み、人間に馴染んてしまったせいかほとんど魔法は使えない。昔は、魔法使いとして魔界法務局に勤めバリバリ仕事をしていたらしい。
今は、縁側で三毛猫のチィちゃんをナデナデしながら日がな1日を過ごしている。
バリバリの魔法使いは、なぜ人間界でほのぼのとおばあちゃんをしているのか?答えは簡単。おじいちゃんに恋したからだ。
馴れ初めはよく分からないが、おじいちゃんは、めちゃくちゃおばあちゃんに優しかった。いつもニコニコして何処行くにもおばあちゃんの手を引き、からだ全体で大好きを表現していた。「人間界に連れて来るのは本当に大変だった」がおじいちゃんの口癖だ。だから、おばあちゃんは魔法使いを辞めた。
魔法を使えなくなった魔法使いのおばあちゃんも実は少しだけまだ魔法が使える。言葉に魔法を乗せ、相手に伝えることでおばあちゃんの思っていることが現実になる。
「上手くいかなくたっていい」はおばあちゃんの口癖。
そう。上手くいかなくたっていい。
次は上手くいくから。
8/9/2024, 9:10:09 PM