夜唄

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とある日の早朝。外からは人々の声がこだまする。まだ寝ていたいのに、ゆっくりと体を起こすと、窓から見える光景に目を見開いた。鮮やかな紙飾りに屋台。
ああ、そうか。今日は七夕だった。
七夕…か。紙に願い事をかいて笹に吊るす。そうして願いが叶うことを願って日々を過ごす。

せっかくだ。自身も願い事を書こうか。
『あの人にもう一度会いたい』


バカらしい。もうあの人には会えないのに。
その紙を持って外に出る。街中に広がる明るい声に酔いしれながら、笹に結つけた。

叶いますように。

とんとん、と肩を叩かれ振り返った。そこには、見た事のある顔が

『やっぱり!__だ!ごめん、待たせて。俺だよ、……だよ』

その瞬間、暖かな風と七夕の日に広がる願いが笹の音に乗せて胸に響くのをしっかりと感じた。

7/8/2023, 7:55:41 AM