私の日記帳はまっさらだ。
書きたいことが沢山あるのに書けない。
だってこれは本だと思われているから。
来る人はみんな「この本まっさらなんだね」と零して隣へと足を進める。
これは本なんかじゃないの、大切な日記帳なのに。
書くことが出来ない。私の意思ではどうしようも出来ない。私がみんなに忘れられるまでこの日記帳は本として扱われるのだろう。
人間はいつもそう。
直ぐに決めつけて勝手に想像する。
私なんて"本を持った人形"なんて勝手な名前を付けられて展示されている。
私を作ってくれたママは「沢山の人に見てもらえるだろうから嬉しいことがあったらこっそり書くのよ」って私にまっさらな日記帳を持たせてくれた。
それなのにママは私の名前を伝える前に死んだ。
だから美術館の人が勝手に"本を持った人形"なんて付けた。本じゃなくてママがくれた大切な日記帳なのに。
私の日記帳、それは日記帳とすら思われていない
まっさらな私の人生みたいな本
8/26/2024, 2:06:53 PM