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真昼の夢。
私は自室…で目を覚ました。
長い長い夢を見ていた気がする。良い夢とはいえない、かと言って悪い夢ともいえない。私はすぐ夢を忘れてしまう。そんな私でも特に記憶に残る夢だった。所々忘れてしまったところはあるがローズマリー…だっけ…?その花がよく身近にあったことをよく覚えている、そしてよく私にくれた子がいる。少し見たことあるような、ないような?
何か忘れちゃいけないこと忘れてる気がする…
すると急に部屋のドアをガラガラと開け白衣を着た男性、その男性の…お手伝い?みたいな人が私に話しかけたり記録を撮ったりしている。少しパニックになっているとお手伝いの人に背中をさすってもらいすごく落ち着き安心できた。数分後用が済んだのか静まり返った部屋に男性は座り母に説明していた。
どうやら私は事故に遭い長い間“記憶喪失”だったのだ。そこから時間をかけ、たくさん自分の情報を教えてもらったり自己紹介されたりしたがせいぜい名前を覚えることで一苦労だった。
病院の周りを散歩するのに許可が降りた日早速私はお気に入りスポットを見つけた。周りは静かで空が澄み、自然が生き生きとしている。
いつしか疲れ切った自分の休みの場としてくるようになった。
記憶はまだ完全に思い出しているわけでもないし、家族や友達に支えてもらってることはわかるが少し静かにして欲しいという…我儘な気持ちもある。まず自分が事故にあったことをしっかりとわかっていない。事故はお昼時に起きた。私と同い年の子が車に轢かれそうになったところを私が突き放し、その子ではなく私が事故に遭ったと簡単に説明されていた、私もびっくりだ。普段人助けを好まない自分がするということが、でもなぜか助けたいと思った。
視線を落とし辺りを眺めていると既視感のある花があった。ローズマリーだ。その瞬間頭が痛くなり記憶が一気に入り込んできたようだった。
「思い出した…思い出したよ!忘れちゃいけないこと、」
あまりにも衝撃的だったのか自分の口から出た言葉にもう一度実感する。
どこか既視感があった花は嘘かもしれないがなぜか助けたいと思ったあの子からもらった花だ。小さい頃確か…幼馴染でよく花を摘んで遊んでいた。お父さんの急な転勤で引越しを言えず離れてしまったことを今でも後悔している。あの時は本当に申し訳なかった、長い夢は走馬灯?
座ってる場合じゃないと思い立ち上がりあの子を探そうと決心する。横から聞こえるニュースを聞き流し、

正午交通事故で高校一年生の……がなくなりました。

あの子はきっと真昼の夢を見て




7/16/2025, 3:13:35 PM