その姿を目で追ってしまう。
その声に耳を澄ましてしまう。
意識しなければいいのに。
視界に入れなければいいのに。
相容れないと分かっているのに目が離せない。
いると分かれば探してしまう。
すれ違えば睨んでしまう(見つめてしまう)。
言葉を交わせば煽ってしまう(昂ってしまう)。
相容れない。嫌悪している。
なのにその存在は私の中でどんどんどんどん大きくなって。
決して好きではない、好きにはなれないその男への、剥き出しの感情だけが最早私を生かす燃料だった。
だから、今。
その男を失った私は、どうやって息をすればいいのか、どうやって生きていけばいいのか、進む術を失くして立ち尽くしている。
どうすればこの空白を、埋められるのだろう?
END
「好きじゃないのに」
3/25/2024, 3:45:50 PM