どらもっち

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終わらせないで


「君の好きなお菓子だったよね」
そう言ってあなたは伏し目がちに、ニヤリとしながら突き付けるように手渡してきた。
いつの間に知ってくれていたのだろう、と相手の頭の中を探りたくなる気持ちを押さえて、真っ直ぐ瞳を捉えながら受け取った。

2人は、少し厚手の上着を羽織って、街の灯りを頼りに目的もなく夜を歩き続けていた。
金木犀が咲き溢れる度に、香りを巡って彷徨ってしまう。

あなたは秋。季節を当てはめてしまったその瞬間から、手放せなくなってしまったよ。

追い越して、追い付いて、願わくば振り出しへ戻りたくはない。
どうか、終わらせないで。

11/28/2022, 12:55:11 PM