komaikaya

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 この2月の空には、さっきまでみたいな、すぐにでも泣き出しそうな『物憂げな空』のまま、そのままでいてほしかったのだ。

 けれど。空は存外早々に雲を散らしてみせ、だけど遠くの山々が見えない程度には曇ったまま、所在なく夕日のオレンジを纏って、表情をわずかに緩めるだけの笑みを見せてきたから、ボクはちょっと裏切られたような気持ちになった。

 もしも空から一粒でも水滴が落ちてきたなら、ボクはきっと「……ほら。キミはそうやってさ、簡単に泣くよね」とか、そんな言葉を平気で投げつけて、そしてやっぱり、キミに裏切られたような気持ちになったのだろう。

 無理して笑ってみせるキミも、泣いてしまうキミも、どちらも許せない──笑うことも、泣いてしまうことも出来ないまま、この風の吹かない場所にボクと、ずっと一緒にいてくれたらよかったのに。


「でもね。ボクたちは、ずっとそのままではいられないのさ。どんな場所にだっていつかは風が通り、時は過ぎる──良くも悪くも、ね?」


 ……ボクは。
 裏切り者の言葉なんか、信じない。

 どこにも行けないボクのままでいい、淋しくなんかないのだから。



2/26/2026, 9:48:16 AM