しば犬

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「私ね、その人に送った最後のものが永遠になると思ってるの。でね、その人にあげるものはいつも最後だがらって後悔のないものを渡してるのね。貴方に渡したそれがもしかしたら最後になるのかもって」

ある時彼女はそう言っていた。
2年前に付き合って初めてプレゼントをくれた日のことだった。
珍しくホワイトクリスマスだったから覚えてるし、初めての彼女にもらった初めてのクリスマスプレゼントだから。

彼女が働いていた、洋服店で取り扱ってたセーターだ。
普段滅多に気ないその色の服。
似合わないと思って手に取らなかったそれを、彼女はくれた。当時は、嬉しさも相まって毎日のように着ていた。

次に貰ったものは、財布だったし。
その次に貰ったのは、時計だった。

形に残るものを彼女は、渡したがり
形に残らないものは、絶対くれなかった。

「目に見えないものは、無いのとおなじ。愛は、目に見えず渡すことも受け取ることも無理。だけど行動とそれに伴ったプレゼントは渡せる。全て愛なんだよ。」

今に思えば、きっとあの言葉は照れ隠しだったのだと分かる。

今日も後悔とともに咲くドライフラワーの花束は心を締め付ける

2/4/2025, 3:46:00 PM