〇〇しないと出られない部屋。
巷で有名なその謎空間に私は閉じ込められてしまった。
何もない、壁も床も天井も真っ白なそこで、何となく正座をしながら私は途方に暮れた。
だいたいこういうのはペアで、男女ペアとかで閉じ込められるのがセオリーなのに。
現在私は一人でここに閉じ込められているのだ。
脱出の為のお題も伏せ字のまま、かれこれ三十分が経とうとしている、気がする。
正確な時間を確認しようにもスマホが文字化けしていて使い物にならないのだ。
やっぱりアナログの腕時計の一つでも買っておくんだったな。
ここを出ることが出来たらセ○コーの時計でも買いに行こう、ムーブメントが日本製のセ○コーを。
奮発して最上位モデルを買うかな、なんて一人で決意していると背後で物音がした。
なんか、熟れたトマトがいい感じの高さから床に落ちた時のメチョッみたいな音。
痺れきって魚肉ソーセージみたいになった両足を何とか動かして後ろを振り向くと、泥酔したスキンヘッドのオッサンが無様にも半ケツを晒しながら転がっていた。
全然知らない人ー!うわあ詰んだ!
チン♪という軽快な音をたててお題が開示されたことにも気付かずに、私は大の字に寝転び瞼を閉じた。
テーマ「静寂に包まれた部屋」
9/30/2024, 5:34:29 AM