不器用なお前が手ずから皮をむき、切り分けてくれた梨。一つ取り、でこぼこの白い果肉を噛む。繊維をほぐし、口中を甘い水で満たしながら、静かに味わう。少しずつ飲み込み、さてもう一口、といったところで、お前が梨に手をつけず、こちらを見つめていることに気づいた。「なんだよ」と問う。「んー?幸せだな、って」特に実が欠けた一切れをおもむろに手に取りながら、お前はそう呟いた。【梨】
10/14/2025, 10:49:13 AM