「変わる世界」
あいつらが見ている世界と俺が見ている世界はたぶん違うのだろう。
目標に向かって努力しているあいつらには、きっと世界はキラキラと輝いているように見えている。
それに対して、何の目標もなく夢もやりたいことも見つけられていない俺。
「それって、まだこれからどうとでもなるってことじゃない?」
彼女はそう言って笑った。
意味がわからず、首を傾げる俺。
「これからいくらでもやりたいこと探し放題ってことだよ」
「どうやって探すんだよ、やりたいことって」
「本当に無いの?」
「……ああ。無い」
「じゃあ、あたしと付き合ってみる?」
「なにを言って……」
「あたし、多趣味だからさ。きっと世界広がるよ」
悪戯っ子のように笑う彼女から、目を逸らすことができない。
色鮮やかな世界への扉が開かれたような気がした。
────無色の世界
4/18/2024, 2:27:12 PM