あんな悲しい思いはもうしたくないから、大切な人を作らないと決めた。
だから人に厳しくして、わたしという存在を怖いものだと、近寄らない方がいいとアピールしてきた。
その甲斐あって、誰もがわたしを遠巻きにしていた。
『あの魔法使いの女の子はおっかない』と、その噂はいろんなところに轟いていた。
なのに今のパーティはわたしのことを気にかけてきて、あまつさえわたしのことを知ろうとしてくる。
最初はもちろん突っぱねた。そんなこと知っても何もならないから。
でも彼らはめげずにしつこくわたしを知ろうと、わたしの心を覗こうとしてきた。
『あなたのことをよく知りたいの』『君って本当は優しい子だよね』『旅慣れてるし戦い慣れてるけど、いつから旅をしているの?』
……うるさい。うるさいうるさいうるさい!!
ある日我慢できなくなったわたしは彼らに怒った。
杖だって振り回したし、魔法だって放った。
これでやっとみんなわたしに興味がなくなる。そう思っていたのに、一人が悲しい目をしてこう言った。
『君は……とても悲しい体験をしてきたんだね。
だから誰とも仲良くしないんだね……』
それを聞いたみんなは同じように悲しい目をしてわたしを見た。
そして最初に悲しい目をした人がわたしの頭を撫でた。
いつもならやさしくしないでと突っぱねられるのに、なぜかその時だけは涙が溢れて止まらなかった。
だけど、いつまでも甘えているわけにはいかないからその人を突き飛ばしてわたしはその場から去った。
だってわたしは一人ぼっちがお似合い。
そうよ、一人ぼっちでいいの……
2/3/2025, 12:59:13 PM