Liu

Open App

キャンドル

 海のようでした。
 赤い炎が揺らめくたびに、潮の匂いがしました。
 私の心を永遠に照らすはずでした。
 ある日、つよい風が吹きました。
 嵐は全てを吹きさらってしまいました。

 今やこの閉ざされた暗闇の中、あの潮の匂いや揺れる炎の記憶はぼやけていきます。
 一本の燐寸さえあれば。また火を灯せるのに。
 そうすればまた…

 あなたがくれたもの。
 それはあなたの全てでした。

11/19/2024, 12:58:25 PM