3歳年上の彼氏……大好きで、大好きで、周りが見えなくなっていた17歳の夏。18になったら結婚しようと言われて、その気になっていた。
「家の事何も出来ない子が、何が結婚よ」
母はそう言って大反対した。なんで分かってくれないの。なんで、なんで!!!
母を攻めるだけしか、その怒りのやり場がなかった。
ある日、母が病に倒れた。私が高校も卒業しないうちに結婚なんて言ったからだろうか……そんなことは無いと思いながらも、ほんの少しだけ申し訳ない気持ちになった。
彼と会っていても、母のことが心配で心ここに在らず……
「ごめん……今日は帰るわ」
そう言い残して病室に向かう。
カーテンをそっと開けて母の顔を見ると、嬉しそうに微笑んでいた。
「来てくれたぁ。みかんあるけど食べる?」
「うん、食べる」
美味しそうにみかんを頬張る私を見て、母は口角を上げた。
「いつの間にか大人になってたね。だけどやっぱり……世の中は広いよ。いろいろ見てごらん。見てほしいな」
母は言葉を選びながら、私に向かって言ったように思う。その奥に見える気持ちが、なんとも私の心を揺さぶった。
学校が終わると病院に行って、しばらく彼と会わない日が続いてた。そして、久しぶりの電話だと言うのに私は酷いことを言った。
「ごめん、好きだけど別れよう」
本当に子どもだったんだと思う。好きなら貫き通せたはずなのに、母の反対を押し切ってまでの気待ちが生まれて来なかった。
〖好きならなんで別れるの?〗っていう彼の言葉も、ウザったくて、そういう時もある……なんて、本当に馬鹿なの?私って思う。
だけど、彼といた時間は本物で、恋愛に恋した年齢だったとは思うけど……本気の恋だった。
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【お題】本気の恋
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9/12/2022, 3:12:45 PM