昨日までの雨が嘘のようだった
落ちる陽に透かした白いドレスと
風に頬を染めた海辺のバルコニーと
魚の骨が歯に挟まったんだ、と
くだらぬ言い訳をしながら
季節が巡る度この星空を見に来ては
過ぎ去った時間を白い吐息に溶かして
溶けた時間の分だけ息は濃くなり
悪酔いするようになったのは
怪しい雲行きが船を揺らすからか
もっと酔えば気にならなくなるさと
多くを呑むには小さすぎるグラスに
溢れるほどの執着と幻想を注いで
透き通った空は星々をあまりに遠く感じさせるから
吐き気と目眩にも似た優しい愛の言葉が
ズシリと胃の底に穴を開けたようで
注がれる愛情はたまらずに騒がしい音を立てて満ちて
引き返すには重なり過ぎた月日が
狂おしく欠け落ちた人を安らかな眠りにつかせた
6/3/2021, 11:53:30 AM