「見上げてみれば、遥かなる空。私はその大空に羽ばたいて行きたくなった」
─────とでも思うのだろうか。天を仰ぎ、続けて考える。
無知で傲慢、世間知らず。
彼等にピッタリの言葉である。彼等がこの言葉を生み出した時、まさか自分がそれに当てはまっているなんて考えもしないだろう。やはり、如何にも傲慢である。
他の空を見た事がないのに、何故彼等は自身の星の空が大きいと言えるのか?何と比べて大きいと?まさか井戸の中の小さな生物と比べている訳ではあるまい。
"地平線"やら"天球"という語があると知ったとき、思わず嗤ってしまった。
嗚呼、本当に彼等は"大空"を知らないのだな
と。見渡せど見渡せど端の見えない空を。惑星が球である事を忘れさせる本物の大空を。
視界を埋め尽くす大嵐。何処までも続く惑星の環の影。それ等を見た事ないのによく言うものだ。
自身の母星の空に思いを馳せれば、ちっぽけな空に希望を託すこれまたちっぽけな彼等にまた笑いが込み上げてきた。
【⠀大空 】
12/21/2024, 12:28:42 PM