病室
目が覚めたら、病室だった。
どうにも寝心地の悪いベッド。
飾り気の全くない内装。
消毒液が微かに匂う室内。
そして。
花瓶に生けられた、
不釣り合いな程鮮やかな花々。
手を動かしてみる。
邪魔な管が纏わりつく。
管が繋がれた手の甲が、
ズキリと痛むのは、
点滴の所為だろうか。
身体を動かしてみる。
まるで鎧でも着込んだかのように、
全身が馬鹿みたいに重たい。
身体を起こすのさえ、
ままならない。
ベッドの脇に飾られた、
悲しい程に綺麗な花々を眺める。
こんな状況の、こんな病室の、
唯一の、希望だ。
…だが、悪いな。
俺は心の中で謝る。
花瓶の水を変えてやる事さえ、
今の俺には、難しいらしい。
8/2/2024, 7:16:16 PM