この人の瞳は笑っている時と笑っていない時がある。前髪が長めだから瞳に光が入らないのかと思っていたこともあったけど、それは違うと分かった。
つい先週、前髪を切った影響かいつもの大人っぽさから少しばかり子供っぽさが出た。前髪の長さも目にかかるくらいから眉毛が見えないけれど瞳を隠さない長さに切られていた。
でも、それでもこの人の瞳はちっとも笑っていない。
「これぇあと」
「…あぁ、さっきの煎餅ね。よかったね〜」
この人は、わたしと遊ぶ時は瞳に光が入る。子供が好きなのだろう、だってわたしが他の人に感じる面倒だという感情がこの人には無い。
わたしの頭を撫でるこの人の手は少し冷たい、冷え性だからか体から冷気が漂ってると家族から文句を言われていた。
「〇〇ちゃん、またね〜」
あの人は帰ってしまう、私と血が半分だけ繋がっている姉はいつもこの家には居てくれない。
安らかな瞳が見れるのに、この家には居てくれない。
お終い
3/15/2024, 6:25:00 AM