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「私達ズッ友だよね」
いつからか呪縛になった言葉を、見下ろしている。

「お願い。私達の仲じゃない」
少しくらい貸してよ、と舌っ足らずに言う。馬鹿になったものだ。公立小学校の旧友の知能レベルなんて気にしたこともなかった。小学生のあの頃と比べて、身体が大きくなっていれば成長したなんて感想を抱いてしまう。私も大概馬鹿だった。
「いい家に住んで、将来が安泰な夫がいて、三万なんて端金なんでしょう? こんな一等地で、私なんかにお茶出せるんだからさあ!」
ミニスカートについた鎖が椅子に傷をつけないか不安だった。
「お願い、中学まで一緒で親友だったでしょ? 見捨てるの? 高校入ってからもたまに遊びに行ったじゃない……」
泣き落としも見慣れてきた。最近は頻度が高い。彼女なりに限界を感じた結果なのだろう。
三万、机に置いた。
「……二度と来ないで」

過去の絆に絆されてばかりの私を、彼女も世間も馬鹿だと思うだろう。
しかしまあ、縁も絆もそう簡単に切れるものではないのだ。
彼女がまたインターホンを押せば私は扉を開けてしまう。過去、本当だった絆がゆっくりと私の首吊り紐を吊り下げていく。

こうしていつか心中する女の名前を、また呼ぶ。扉の前で、切実に。
【絆】2024/03/06
面白くない話!

3/6/2024, 11:15:37 AM