『雪明かりの夜』
雨がいつしか雪に変わった。
寒波がきて冷え込んだせいだろう。
夜中トイレに起きて、戻りがてらふとベランダのカーテンの隙間から外を覗いた。
いつもなら、真っ暗な中に街灯の光が何かの光線のようにくっきりと放射状に差しているのに、今夜は少しぼんやりと、薄いベールを一枚掛けたようにやわらかな光が辺りを包んでいた。
視界全体が薄っすら白い。
街灯の当たるところだけ、ひらひらと舞い落ちる雪の欠片が照らし出されている。
雪の降る描写に、「しんしんと」という擬音はなんてしっくりくるのだろう。
しんしんと、雪が降る。
辺りを白く照らして。
12/26/2025, 10:26:17 AM