不特定多数

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誰かのためになるならば

なんて綺麗事だ、と思った。よく顔も知らない人間のために献身できるものだ。これは私が斜に構えているからなのだろうか。ため息をつき本を閉じた。
休憩がてら、コンビニに飲み物でも買いに行くことにする。財布だけ持って家を出た。
家すぐ近くのコンビニは小さいが妙にラインナップが豊富で、店長の趣味じゃないのかと思わされる。小さい頃は、ドリンクコーナーになんだかワクワクしたものだが、もう見慣れてしまったよな。適当にジンジャーエールを取りレジに向かう。
ふと、レジ横の募金箱が目に入り、先程の本のセリフを思い出す。
誰かのためになるならば……
私は、誰かのために自己犠牲を払うなんて、してやらない。ただ、これが誰かのためになっていたらと願うだけだ。
500円を入れておいた。

7/26/2024, 5:08:43 PM