瀬尾はやみ

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1件のLINE

いつものようにベッドに寝そべりスマホをだらだら眺めていたときだった。
『明日の夜、ヒマ?』
そのメッセージで体を飛び起こした。最低限の用件だけで絵文字の一つもない。
だけど、いつだって私を簡単に舞い上がらせる。
なんの用事だろう。友人からのLINEだったら用件を聞くのは参加を決めるかの判断材料にするだけだが、彼からのLINEは違う。彼の誘いに対して断るという選択肢はない。
「ヒマだよ!」
と勢いのまま返したくなるが、ぐっと踏みとどまる。そんな軽率マネはしない。私は彼とただ遊びたいだけじゃない。好きな彼に好きになってもらい、恋人になりたい。できればその先も。
「一応空いてるけど、なに?」
考え抜いた結果、シンプルが一番だと判断した。送ったばかりなのに、まだ返信来ないのか、既読はついたかばかり気になってしまう。文面も読み返してみると少しそっけない気がする。部屋の中でそわそわ動き回っていると、ピロンと軽快な通知音が鳴った。
ベッドに放っていたスマホに飛びついた。
『花火しようよ、二人で!』
ぐっとガッツポーズをした。溢れ出る喜びでぴょんぴょんと部屋の中で飛び跳ねると、一階から静かにしてよ、とお母さんの声がする。
今はそんな場合じゃない。ついに二人で遊ぶ日が来たのだ。明日はなにを着ていこう。せっかくだから最近買ったリップもして行こうかな。
 明日は人生の最高の日になる。

7/11/2023, 3:39:46 PM