百瀬御蔭

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地平線の向こうから亀裂が走り、太陽が昇る。それを合図に、麓の街より澄み切った鐘の音が響き渡る。

「……エディア」

夜風に混じって、ヴァスクの声が聞こえる。白銀の髪は雪を纏ったが、色の移ろいを感じさせている。

「新年を迎え、それをお前と分かち合えること。ありきたりな言葉ではあるが、喜ばしいことだ」

彼は薄く微笑む。口の端はほころび、目尻が下がっている。格好良くもあるが、それ以上に美しい。憂いを帯びた表情が印象深いが、柔らかな笑みも魅力的で。

「ん……そう、触れられると」

無意識に伸ばしていた手、その指先は彼の目元をなぞっていた。彫り深く、端正な顔立ち。年相応の落ち着き払った姿を、この手で描くことができたなら。

「お前の手は小さいな。手入れを怠らないのも、好ましい」

そのまま抱き寄せられる。厚い胸板に、太く硬い指。何もかもが自分とは違う。

「エディア。俺はお前の描く絵も、筆を握るその姿も……お前の全てが好きだ。どうか私の傍を離れないでくれ」

『この腕に全てを収めて』

お題
新年
今年の抱負

1/3/2025, 10:01:49 AM