水城みゃん

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高層階の窓辺
空には飛行機雲
暖かい日差しが窓から射し込む
私は椅子に深く座りまどろんでた
睡魔が両瞼を静かに閉じさせ
夢の扉を開かせた

夢の中はおぼろげ

満月が照らす森の中
草むらを踏みしめ
森の中をゆっくりと登っていく
茂みを掻き分け
やがて拓けた頂上へ

月明かりに照らされて
巨木が一本
夜空に枝を大きく広げ
木の根元には
巫女の装束で佇む長髪の女性
私を眉根を寄せて睨みつけていた

「遅い!永く待ってたぞ。待ちくたびれた」

叱責と睨みつつも涙が滲む
巫女の凛とした美しさ
巨木の澄んだ威圧を浴び
私の頭中に強い光の瞬いた
映像がスライドしていく
それは今の私ではなかった

侍が割拠している時代
戦が絶えない時代
私は廃れた小さな神社の神官

ある日、迷い込んだ血まみれの
壮年の武将を匿い癒した
武将に付き従ってた女武士は
床に伏す武将を看ながら
神社の奉りごとも手遣ってくれた
女武士姿も凛々しく
巫女姿も凛とした美しさ

夢の中はおぼろげ

回復した武将
数人の足軽を伴った武士たちと
刀を交えた武将と女武士

敵を殲滅しつつも
息を引き取った武将
父上とすがる女武士

丘の上に立つ木の根元に
武将を弔った

女武士は墓を守りつつ
巫女になった

それからの私たちは
どうなったのか…

意識を集中し私たちを追うも
霧散して辺りは暗闇に包まれた

夢の中はおぼろげ

両瞼を静かに開くと
高層階の窓辺
空には曇りない満月
月光が窓から射し込む
私は椅子から立ち上がり
走馬灯のように過ぎた
夢に想いを馳せた

私であって私ではない
私が小さい頃から見る夢物語

遠く…はるか遠い昔物語
切なく懐かしい夢

私は老いた
夢も見なくなってきた

遠くないうちに
貴女に逢えるだろう

きっと…



【遠く…】

2/9/2025, 12:46:06 PM