鹿野彩音

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姿の見えない君へ

秋がもうすぐ去ってゆく。

紅葉、イチョウ、秋の草花、踏んづけるとちょっと臭かった銀杏ですら、無くなると思うと、物悲しい。

人々はこれを、哀愁と呼ぶ。

これから先、何年でも何十年でも、季節が巡るたび、思いだすよ、君のこと。

君と初めて桜を見た春。

君と初めて過ごした夏。

君と初めて見た紅葉。

君と初めて迎える年越し。

私がここに存在するかぎり、君は私と共にいる。

過ぎゆく季節と新しい季節。

その狭間に、君がいるから。

私の隣に君は居ない。でも、そんな寂しさを埋めるくらい、君の残してくれた物は私の人生の宝だった。

君と出会って、この世界が愛おしく思えたよ。

ありがとう。

例え世界が君を忘れても、会うことも触れることも出来なくても、心は君を描くから。

私の心は、いつでも君を描くから。

11/4/2022, 1:14:18 PM