私だけ
「ハッピーかい?」
久しぶりにあった君はそんなことを聞いてくる
急に何かと黙り込んでしまった私に笑いかけるその顔は何も変わっていない
「最近ワンピースにハマってて。知ってる?」
「見たことない」
「えー絶対見たほうがいいよ」
一緒に買い物をして、ご飯を食べて
数ヶ月分の会話をした君はさり際にもう一度
「ハッピーかい?」と笑って夜と混ざり込んでいった
君が死んだ
最後にあってから、それほど時間が経たない頃だった
律儀な君はちゃんと遺書を残していたらしい
きっと私にではなく、自分に問うていたのだろう
答えが出た君はここにいる理由をなくしてしまった
そんな世界で私は幸せに生きていくのだろう
君の言葉を思い出しながら
【私だけが幸せになれない世界に見切りをつけて】
7/18/2024, 11:22:02 AM