お茶の子

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鐘の音を聞くと思い出すのは
足を教室まで向かわせることが出来なかったあの日のこと。

朝、チャイムが鳴る直前。

行かなければならないと自分を鼓舞する思いと、教室に入ってからの苦労を想像して無気力になる思い。

気持ちが勝てなくて、保健室へと自然と足が向かう。

「学校までは来れたけど教室まで行けそうになくて。」
甘えた理由も非難せずひとまず受けいけてくれる優しい保健室の先生。

そして「まだ戻れるぞ」と心で囁く悪魔。いや、天使?

葛藤を繰り返すうちに始業の鐘が鳴って
罪悪感と安堵が同時に心を襲う。

でも、「もう葛藤しなくていいんだ。今日は仕方ないんだ。」と言い聞かせることが出来た。

そんな緊張と不安と不気味な安堵が入り混じる、ぐちゃぐちゃなあの日が今も頭の奥に残っている。

8/5/2023, 1:16:33 PM