【波音に耳を澄ませて】
波音に耳を澄ませて、砂浜でうとうと。
気温はギリギリ泳げるくらい。つまり、それほど暑くはなかった。
私は最初から泳ぐ気はなくて、ジャージにTシャツ、パーカという楽な服装。目深にフードを被れば、日差しもあまり気にならない。
はしゃぐ人の声、波の音、程よい暖かさと強すぎない風。うたた寝にはとても……心地が良かった。
帰り際、連れから「具合が悪くなったのかと思ってた」と言われたのは、想定外。確かにレジャーシートの上で蹲ったまま、話すどころか動きもしなかったな。
「違う違う。心配かけてごめんよ」
ただ本当に、身動きするのも惜しいくらい、気持ち良かっただけなんだ。
それから何年過ぎたかわからないけれど、未だにあの日のあの浜辺ほど素晴らしい昼寝ができたことはない。
7/5/2025, 8:16:58 PM