「おばあさま、今日は大変芳しい香りがいたしますね。」ゆっくり、はっきりと話しかける。「ええ、柚子の香りでしょうね。」おばあさまも、ゆっくりとお話しを続けました。「わたくしは、昔、柚子の花と呼ばれたものです。」懐かしそうに目を細められました。「ふふ、見た目は控えめでも、柚子の花は芳しい香りを持ちますでしょ。 柚子のように中身の薫る人と成りなさい。と、母は仰っていました。」それはそれは嬉しそうに、おばあさまらお話しになられました。
12/22/2024, 2:06:31 PM