sairo

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そっと、目の前の小さな命を手のひらに掬う。
微かに響く鼓動と、伝わる確かな温もり。ほぅ、と吐息を溢し、目を細めた。

「いっしょにかえろ?」

問いかけに反応はない。
例え応えがあったとしても、何も変わらなかった。

「いっしょにかえろうね」

温もりを抱いたまま歩き出す。
帰ると決めた。だから一緒に帰る。

幼さ故の傲慢さを、今になって少しだけ後悔していた。

12/25/2025, 2:08:01 PM