ミミッキュ

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"突然の君の訪問"

「フンフ〜ン、フーフン♪」
鼻歌を口ずさみながら、作った料理をダイニングテーブルに並べていく。
今俺がいるのは、飛彩の家。最近お疲れであろう恋人の為、スーパーで材料を買って付き合い始めた時に貰っていた(けど中々使う機会が無かった)合鍵で入り、料理を作って帰りを待つ事にした。ちなみに、最初は「思いっ切り驚かせてやろう」と思って連絡無しのただの訪問だったのが、後に「どうせなら何か作って振る舞ってやろう」というのが付け足された。…まぁ、料理と言っても、サラダとカレーなんだけど。
「さて、あとはどう驚かしてやろうか。」
両手を腰にあてて少し考える。
「…やっぱ、あのやり方か?」
フフフ♪、とワルガキの様な笑い方をして時計を見る。「そろそろだな」と思い、鍵をしめて自分の靴を持ち、電気を消して玄関から見えない物陰に隠れて飛彩の帰りを待つ。
カチャリ、と鍵が開く音と、ガチャ、と玄関扉が開く音がした。来た来た♪、と心を弾ませる。何も気付いていない飛彩が俺の前を横切り部屋の明かりがつく。今だ!
「ひーいろっ♪」
ガバッ、と後ろから抱き着く。目を大きく見開いて俺の顔を見ると
「なんだ、大我か……」
と、肩を落とす。
「フフン、驚いたか?」
「当たり前だ。連絡も無しに…」
「いつも澄まし顔のテメェの顔を崩してやろう、と思ってよ。」
歌う様に言うと、ため息を吐いて呆れた顔をして何か言おうと口を開く。が、鼻をヒクつかせる。
「…良い匂いがするな。これは、…カレーか?」
「当たり。こっち来い」
と飛彩をダイニングテーブルに連れて行く。
「おぉ…。これ、貴方が?」
「おぅ。…口に合えばいいけどよ」
と、言いながら椅子に座らせ、向かいに自分も座ると「いただきます」と両手を合わせる。「どーぞ」と答えるとスプーンを手に取り、カレールーと白米を掬って口に運び咀嚼する。
「……美味い」
顔を上げ、感嘆の声を上げる。
「そう、そりゃ何より」
良かった、口に合って。…自分勝手で自己満足なサプライズだったけど、こういうのも悪くない…かな。

8/28/2023, 11:36:43 AM