川柳えむ

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 どうしていつも楽しそうに笑っているの? そう聞いたことがある。
 すると彼はまた笑って言った。

「だって、笑った方がハッピーな気持ちになれるじゃん? それに笑うとみんなも笑うんだ。笑うだけでみんなもハッピーな気持ちになれるならWin-Winでしょ。落ち込んだりしてても何も変わらないし、不幸せな顔してるよりずっといい」

 そんな彼はいつもみんなを楽しませていた。周りに気を配り、困っている人がいれば手を差し伸べて、心から楽しそうにいつも笑っている。みんな彼が好きだった。

「笑おうよ」

 当たり前だ。私にすらいつも笑って手を伸ばしてくれる。誰でも彼を好きになってしまう。
 彼はいつも眩しい。きらめきを持った太陽のような人。あぁ、目が眩む。ただ素敵だと心から思う。


 そんな彼が亡くなったのは事故だった。
 本当に突然の事故。運転手が急に発作を起こした車が追突した。たまたまその車の先にいただけだ。
 恨みたくても、その運転手も発作で亡くなってしまった。それにきっと彼はそういったことを望まない。みんなわかっているんだ。
 たくさんの嗚咽が聞こえてくる。世界はこんなに暗くなってしまった。太陽が、消えてしまった。
 太陽がなくなった世界でなんか生きていけない。私も彼がいる世界へいきたい――。

「笑おうよ」

 彼の声が耳元で聞こえた気がした。
 そうだ。彼はいつも笑顔を絶やさない。みんなの笑顔を望んでいるような人だった。
 こんな状況を見たら、きっと困って、もっとみんなを笑わせなくちゃって思ってしまう。

 笑っていよう。
 そういつも望んでいた彼の思いを叶えたい。
 きらめきは消えない。だって私が受け継ぐから。太陽の光を、私があなたから貰うから。
 このきらめきを胸に、笑顔に、生きていく。

 彼が笑った気がした。


『きらめき』

9/4/2023, 8:43:07 PM