ほのやかに日が霧に光さす朝、庭の方から小さな足音が聞こえた。すたすた、ぴょん。すたすた、ぴょん。何かが石畳の上を跳ねているらしい。
────── 誰かしら?
独りごつ、
縁側からそっと覗いてみると、小さな雀が一羽、ちょんちょん、と歩いていた。どうやら落ちていた米粒を見つけたようだ。すぐに飛び立つかと思ったけれど、こちらに気づいても逃げる様子はない。ふくふくと丸いその姿が、なんとも愛らしい。
しばらく見ていたら、不意に足元が冷えていることに気づいた。春が近いとはいえ、まだ朝はひんやりしている。
かすかな風が吹いた。軒先の梅がそよぎ、花弁がひらりと舞う。やがて、雀は小さく囀ると、ふわりと空へと飛び立った。
さて、お茶でも淹れようか。
3/2/2025, 1:10:12 PM