凛音。

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「お姫様になりたかった。」

君は突然そう呟く。
別にキラキラしたドレスが来たいとか、美味しい料理がたくさん食べたいとか、そういうんじゃないんだけどね、と後に付け足されたその言葉を理解するのにほんの少し時間を要した。

なんで?そう一言僕は問いかける。君の言葉に肯定も、否定も相応しくないと感じたから。


「ハッピーエンドを約束して欲しいの。」


たとえ意地悪な人達が周りにいても、たとえ誰かに恨まれて、心無いことを言われても。
たとえ、王子様の相手が、自分じゃなくても。

最終的には主人公とそのパートナーが笑って幕を閉じる。そんな"お決まり"がどうしようもなく羨ましいんだ、と。



「なら、僕が約束する。」


綺麗なドレスは着させてあげられないけど、フルコースは出してあげられないけど。
君となら、どんなによれた部屋着だって、ご飯とお味噌汁だって。幸せの1ページになるんだから。

ほら、小指を出して。子供騙しの約束で、今日も綴っていこう。

これは君と僕のありふれた

ー 恋物語 ー

5/18/2024, 2:33:00 PM