鋭い眼差しが見つめる先は………
「いやだー!!!!拓斗ー!!!」
「何。どうしたの!大きい声出して」
「g〜!!!!!gが出たー!!!!」
「えっ!?g!」
晩ごはんを作っていた私の足元に現れたそれは紛れもない茶色いつややかな色、不気味に動く触覚をもつ、正真正銘のgだった。
「早く!早くやっつけてー(泣)」
私からg討伐を命じられた拓斗は、騒ぐ私を尻目にgを討伐するための装備を揃えていく。
「茜。ゆっくりこっちにおいで」
拓斗にそう言われた私は野菜を切っていた包丁を静かに置いて、ゆっくり拓斗の方へと向かう。
「そこにいてよ」
「うん。拓斗も気をつけてね」
私の足元にいたgは動くことなく静止をしたまま。ゆっくり、gに向かって拓斗は少しずつ足を進めていく。
そして、
スパーーーーーン!!!!
拓斗の即席丸めた新聞紙で、ものの見事にgは一撃。
してやったりである。
「うわー!!!凄い拓斗っ!!!さすが元野球部キャッチャー!!」
「はいはい。もう大丈夫だから、晩御飯の続き、よろしくお願い致します。おいしいおいしい晩御飯をお待ちしています。」
「はーい。ありがとう拓斗」
こうして我が家に平和が戻った。
g……君のことは多分、一生苦手。
けれど、君が現れた時、私には心強い騎士が居る。
「拓斗ー!好きっ!!」
「はいはい。俺も好きですよ」
何気ない会話をしながら、私は晩ごはんの続きを作るのだった。
10/16/2023, 4:02:49 AM