駅までの道、街路樹の下、ふたり黙って歩く心許なさをかき消すように、足元に色付いて褪せて落ちた葉をわざと蹴るように踏みしめるように音を立てて歩いた。
少し前を歩くあなたはもう、「すごい音」なんて無邪気に笑いかけてはくれない。
目を上げれば、薄青色の空に暖色のコントラストが鮮やかで、長く細く伸びる木の間から注ぐ陽が眩しくて、目を細めた。
あなたはもう、「綺麗だね」と立ち止まることはなくて、その間にもまた距離が開いていく。
もう、振り返って、その手を差し出してくれることもないんだね。
変わらず巡ってきた季節の中で、変わってしまった私たちは、今日ひっそりと姿を消す。何にも無かったみたいに。
移ろう季節に紛れて、別々の道を歩いて行く。
11/25/2025, 5:16:29 PM