前略
貴方にお手紙を差し上げるのも、ずいぶん久方ぶりのように感じられます。とは申しましても、ほんの二日ほど間が空いただけでございますのにね。それでも私には、まるで幾日も幾夜も過ぎ去ったかのように思えてしまうのですから、可笑しなものでございますわ。
次に貴方にお目にかかれるのは、いつになるのでしょう。あと幾度、この寂しい寝床でひとり眠りにつけばよいのでしょうか。一刻も早くお会いしたいと、胸の奥では毎秒のように願っております。
けれどもその想いをそのまま綴ってしまえば、我儘娘と思われてしまいそうで、いつもそっと飲み込んでおります。きっと貴方も同じように、少しだけ寂しさを抱えてくださっているのではないかと、そんな風に信じておりますから、私ももう少し、我慢を覚えなければなりませんね。
さて、本日は一冊の物語を読みましたの。とても幸福な結末を迎える、二人の恋模様のお話でございました。
近頃の私は、不思議と恋物語から遠ざかっておりました。幸せそうに寄り添う二人の姿に、どうしても貴方を重ねてしまい、そのたびに胸の奥がきゅうと締めつけられてしまうからでございます。
本日もまた、笑い合う二人を眺めながら、気づけば一筋、涙がこぼれておりました。自分でも驚いてしまいましたわ。まさか物語の中の誰かに、ささやかな悋気を抱く日が来るなんて思わなかったものですから。
けれど、それほどまでに私は…
自分でも呆れてしまうほど、貴方のことをお慕いしているのでしょうね。
あの物語のように、いつの日か私たちも、穏やかで温かな結びへと辿り着けますでしょうか。遠回りをしても、涙を落とす夜があったとしても、最後にはハッピーエンドと呼べる日々を、貴方と共に迎えられることを願っております。
本日はこのあたりで筆を置かせていただきます。貴方のことを思い浮かべると、また涙がこぼれてしまいそうでございますから。
どうか、次にお会いできるその日まで、お身体を大切に、健やかにお過ごしくださいませ。
草々
3/29/2026, 12:03:09 PM