【これで最後】
「律さん…」
「駄目、職場だよ」
腰に手を回してくる柊の顔の前にすっと手を差し出す
静かな声、優しく触れる手
キスの合図だ
「…誰も居ないのにですか?」
「いなくても」
別に恋人だとか、そんな関係じゃないし、なんなら友人でもない
それでもこの男は、1度許されたからと、度々こういう声を出す
「ここをどこだと思ってんの?監視カメラくらいいくらでもあるんだよ」
「…はい」
少し拗ねたように距離をとる柊に、ため息をついて、腕を引く
「…こっち」
「え」
「……監視カメラが…」
「お前と違って知ってんの、死角」
「……もう1回、ダメですか…?」
「…これで最後ね」
絆されてなんか居ない
これで
最後だ
5/28/2025, 5:36:55 AM