思い立って体をのび〜っと伸ばしてみる。
長時間同じ姿勢でいたからか肩のあたりからポキポキと音が聞こえた。
今年受験生だから志望校に入るために今から勉強しても早すぎることはない。
……けど、どうしておれは志望校にちょいとレベルが高いところを選んだんだっけ?
というかなんで勉強はここまで好きでもなかったのに受験に向けて頑張ちゃってんだろう?
後悔……するから?
……このままじゃ勉強モードに切り替えるのも集中もできそうにない。だから気晴らしにカーテンを開けて空を眺めてみることにした。
月という眩しい光が無いからか、星明かりが良く見える。
ぼんやりと星を見上げていると、ふいに誰かの言葉が脳裏に浮かんできた。
『知っているか? 今からおよそ一万二千年後、こと座のベガが北極星になるらしい。
北極星は不変だと思っていたが、その目印となる星は代替わりしていくのだな』
……こんなことをおれに話してくれた人は誰だったっけ。
姿も声も思い出せないけど、最近聞いたような気もする。小説で読んだ……っけ?
でも、なんでこの言葉を思い出したら痛苦しいほど胸が締めつけられて、鼻の奥がツンとするくらい悲しい気持ちが襲いかかってきてるんだろう……?
……今日はもう休もう。こんなに感情が乱されちゃあ勉強どころじゃない。
カーテンを閉めてベッドに転がると堪えきれなかった涙がポロリと外に飛び出した。
ああ……しばらく星明かりはまともに見られそうにないや。
4/20/2025, 1:09:11 PM