『モノクロ』
それは彼女からの突飛な一言だった。
「パンダが食べたいんだけど、どうすればいいと思う?」
思わず、呆気に取られる僕。
「えーーっと、まずパンダを食べないでほしいんだけど。なんで、食べたいの??」
「パンダだってシロとクロの色でしょ? シロクロってモノクロみたいなものじゃない? だから、パンダを食べたらモノクロの視界になると思って……」
……ふむふむ。
駄目だ、全く意味が分からない。
「えーーっと、なんで、視界をモノクロにしたいのかな??」
「あのね、あのね……私ね、昔は、ずっとずっと世界はモノクロだったんだよ」
「え、そうなんだ、それで??」
「あなたとね、付き合ってから世界が色づき過ぎて、眩しくて目が開けられないから、視界をモノクロにしたいの」
……だって、大好きなあなたの顔が眩しくてよく見えないから。
そう言って彼女の言葉に僕は思わず、熱くなる顔を両手で覆って叫んだ。
「パンダ食いたいのは、僕の方だよーーー!!」
9/29/2025, 5:52:07 PM