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前略
さて、本日は少しばかり、情けない胸の内をお聞きいただきたく、筆を取っております。

近頃の私は、「ないものねだり」というものを、しみじみと思い知らされております。
なんとも他愛のないことでございます。

人に甘える、ということです。

世の中には、ためらうことなく誰かに寄り添い、「寂しい」と素直に口にできる方がいらっしゃるのでしょう。そのような御方を拝見するたび、私はどこか羨ましく思ってしまうのです。

本当は、私も。ほんの少しでよろしいのです、貴方に甘えてみたいとそう願うことが、ございますのに。

いざとなりますと、言葉は喉の奥でほどけず、結局は何事もない顔を装ってしまうのでございます。まことに、不器用な性分でございますね。

とは申しましても、貴方は、不器用な私でよいのだと仰ってくださいましたね。そのお言葉に、どれほど救われているのでしょうか。

ですから、この拙いままの私で、もう少しだけ貴方のそばへ寄ってみたいと思います。

こうして貴方へお手紙を差し上げる折には、いつも頬を林檎のように赤らめながら、そっと筆を取っておりますの。幾分かは慣れてまいりましたものの、それでもなお、胸の奥がそわそわと落ち着かぬのでございます。

このようなことを書き連ねておりますと、貴方を少しばかり困らせてしまうのではと案じてもおりますけれど、もしそうでございましたなら、どうかお優しくお許しくださいませ。

もしも素直に、「会いたい」と申し上げられたなら。
もしも遠慮なく、「そばにいてほしい」と願えたなら

そのように思うたび、私はやはり、ないものねだりをしているのだと気付かされるのです。

ですが、このように拙い私ではございますが、ただ一人、貴方の前でだけは、いつかほんの少しでも、その叶わぬことを叶えたいと思っております。

上手に甘えられる方々のようには参りませぬでしょうけれど、その折には、どうか笑わずに、静かに受け止めていただけましたなら、これほど嬉しいことはございません。

今宵も、貴方を思いながら休みたいと思います。

……などと申しながら、やはり少々、気恥ずかしゅうございますね。
草々

3/26/2026, 1:14:02 PM