糸花

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〝放課後〟

1日がほとんど終わろうとしてる、放課後の教室。部活をしてないから、日直のときでしか、こんな時間まで残ることがない。

少女漫画のワンシーンを、すこし思い出す。なんて、現実じゃあり得ないのにね。

「よかった……教室開いてた!!」

教室の引き戸が開く、肩を上下に息をする男子。なんて声をかければいい? そもそも返事はした方がいい?
男子は机からプリントを取ると、あたしの存在など気にせず戻っていく。
変に声をかけなくて正解だったね。早く日誌を書いて帰……足音する? 次は誰? えー、帰ったんじゃなかったの!? さきほどの男子が顔を覗かせた。

「まだ忘れ物だったら、もう少し日誌書いてるし、探してていいよ」
「探すんだったらそれはもう忘れ物じゃなくね?」
「ん? あれ、そうなのかな……?」

なぜか会話は続き、気づいたら、放課後をクラスの男子と一緒に居た。
なんで向こうは戻ってきたんだろう。日頃話もしない男子との会話、初めて…そんな印象を持ってしまうほどに笑うところにドキッとした。
少女漫画のワンシーン、そんな気がした。現実ではあり得ない……そう想像しちゃえばいいんじゃない? 誰にも絶対に内緒だけどね。

10/12/2024, 12:53:44 PM