「桜散る」
学校の校庭にはおとぎ話に出てきそうなほど大きな桜の木がある。
生徒はその木の下で雑談したり、日陰で休んだりし、無くてはならないものになっていた。
春になると綺麗なんかじゃ表せないほど美しく花が咲き誇り、風が吹くと花吹雪が校庭に舞う。
桜が散る姿は悲しいようで、どこか懐かしいような、自分達の成長を感じられた。
そんな春が終わり夏になった。
夏と言えば台風が来る季節だ。
蒸し暑い夏の日の朝、外は曇り風がビュンビュンと吹く大雨だった。
ふとテレビを付けてみると、台風警報が出ていた。
そういえばラインニュースか何かで台風が来るという記事をみた気がする。
台風はいつもより一層強く、外になんて出られもしなかった。
そんな休日を過ごし学校に登校する。
ところどころ水たまりがあり、地面も濡れている。そんな通学路をいつも通り通る。
学校につくと何やらザワザワしていた。
皆んな校庭を指差して悲しそうな顔をしている。
ふと見ると、桜の木の一番太い枝が折れていた。
あの枝が折れたら桜はもう咲かないのではないのか、日陰も出来ないのではないか。
なんて事を思いながら少し悲しくなった。
それでも生徒たちは生徒会を中心に話し合い、折れた木を再利用しようと考た。
木を皆んなで少しずつ運び桜の木の下に持っていき、椅子として、休憩場所とした使った
すると皆んな元気を取り戻し、昼休みにそこに集まってはお弁当を食べたりして楽しそうに話している。
咲かないと思っていた桜も咲き、いつものように校庭で桜が舞っている。
案外、桜が散るのも悪くないものだ。
4/17/2024, 1:08:16 PM