霧つゆ

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 「流れ星なんて早すぎて、3回言う前に消えちゃうよ」

 そう、口を尖らせたあの子が言った。

 「日頃から強く思ってることを言うといいんだよ。」

 僕は訂正した。日頃から強く思っていることを言えば、たった一回だけでも強く願いが届く、そう誰かから聞いた。

 「ちなみに、何を願ったの?」

 「ないしょー!言ったら叶わなくなるかもしれないじゃん。」

 「たしかに」

 僕は納得した。願い事を言ったら叶わない。よく、神社の参拝時に言われることだ。
 しかし、この世には言霊という言葉もある。言った内容通りになるという昔ながらの言葉。

 「言霊って知ってる?」

 「えっと…言った言葉がその通りになるっていうやつだっけ…?」

 「そう。言ってみたら案外叶うかもしれないよ?」

 「え、それを理由に、君に私の願い事教えるの!?だったら、君の願い事も教えてよ。互いに教え合えば恨みっこなしだよ。」

 あの子は、はにかんだ。僕は「わかった。」と承諾をした。

 【流れ星よ。僕の願い叶えてくれるかい。】

 「じゃあ、君から教えてよ。」

 「え、僕から?」

 【流れ星よ。君の速さでは僕の願い事は一回しか言えない。】

 「しょうがないな、じゃあ、僕から言うね。」

 【流れ星よ。それでも、強く強く願っているから、一回だけでも届かないだろうか。】

 「君に初めてあった時から、君の仕草や表情に惹かれ…」

 「待って待って、長い長い!流れ星にその量は届かないでしょ!もっと短く!」

 【流れ星よ。この短さなら届くかな。】

 「君が好きだ。」

No.2 _流れ星に願いを_
 

4/25/2024, 2:40:41 PM