龍那

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[遠くの空へ]

 白い紙を几帳面に折った君は。
 吸い込まれそうな夏の青空を見上げて得意げに笑った。
 風が長い髪を梳いて吹き過ぎると。
 君はそれを追うように振り返り、手にした紙飛行機を飛ばした。
 細い指先を離れたそれは、君が読んだ通りの風に乗って。
 青く遠い空に吸い込まれて消えていった。

 そんな、夏の幻影の話。

4/12/2023, 11:16:46 AM