とらた とらお

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枝先に
今にも離れていきそうな枯葉が踊っている

ビュッと風が吹いた拍子に
はらり はらはらと
宙を舞う

ひらりと地面に着地した枯葉は
風雨と微生物の力を借りて
時間をかけて次なる植物の栄養となる

世代を越えた循環を織り成す




そんな腐葉土で思い出した話がある。
大学生の頃、砂防学の講義で聞いた話だ。

よく土砂崩れが起きた時に
「80年住んでて山が崩れたのは初めてだ」
「何十年もずっと崩れていなかったのに」
とインタビューで答えるのを聞くと思う。

山というものにおいて
80年崩れていなかったのは
安全を示す指標にならない
むしろ、危険であると思ってもいい

たしかこんな話だったように思う。

日本において、山には傾斜があり、崩れて平坦になろうとしている途中にある。
平坦になった状態が安定なのであり、傾斜があるうちは崩れるのが『当たり前』なのである。
(厳密には安定勾配で安定するのだが、割愛する)

木の葉が落ち、腐葉土となり、年々、崩れる素材である土壌が堆積していく。
崩れなかった年月が長ければ長いほど、より多くの土壌が堆積しているわけだから、「急な傾斜があるのに、長年崩壊していないところ」ほど、危険なのである。

専門家ではないため、齟齬があるかもしれない。
けれど、長年崩れていないところほど、崩れる危険があると知った時、私の中の安全神話は大きく崩れたことを覚えている。

2/19/2023, 3:05:15 PM