「狭い部屋」
狭い部屋はどうしても苦手だ、
窮屈で閉じ込められた記憶が蘇ってくるから
わたしが まだ 中学生のときのはなしだ。
お母さんは男遊びが酷い人で毎晩、毎晩彼氏らしき人を連れてきて、夜遅くまで営みを繰り返している。
お母さんは彼氏に私の存在を隠したかったらしく、毎日 毎日階段下に閉じ込められる。
電気も何もない暗い部屋で何十時間と過ごす。
トイレに行きたくても行けない、
喉が渇いても、お腹が空いても口にできない。
夏の日でも御構い無しに蒸し暑い部屋に閉じ込められる。
夜も眠れない日が続き、ついに限界がきた。
ある日の夏虫が泣き叫ぶ夜に家を抜け出した。
誰にも見つからないように 誰にも捕まらないように。
もう何時間でも走れる気がした。
心地よい風が首を通り抜けていく。
気づけば朝になって何処かも分からない路地裏で寝ていた。
そのあと警察のお世話になって 施設に預けられた。
だから私は狭い部屋も何もかも苦手だ。
6/4/2024, 1:56:02 PM